突然ですが、皆様はこの写真を見て何を思うだろうか。
これは先日福崎研の冷蔵庫の奥底から出土した代物である。
そう、これは摂氏4℃という過酷な環境下にもかかわらず生育していた真菌たちの集合体なのだ。
もともとが何であったのか、いつ作製されたものであるのか、全く判別できないほどに茂った菌糸。すでに芸術の域といっても過言ではない。
みなさんも、感性を研ぎ澄ましてもう一度よくよく見ていただきたい。
ある芸術家は、非常に前衛的な芸術の一種だと思うかもしれない。
ある詩人は、菌達の生命力に心打たれ、一篇の詩を吟じるかもしれない。
ある第一種衛生管理者は、この研究室の衛生観念の薄さに愕然とするかもしれない。
ある生物学者は、この菌類がどの属に分類されるかに興味を持つかもしれない。
ある工学者は、この冷温耐性を社会に役立てられるのではないかと考えるかもしれない。
立場が違えばものの見方も異なる。これは古今東西、この世の不変の真理である。
海外留学で見識を深め、大学院にてメタボロミクスを専攻し、一端の科学者として日夜研究に明け暮れる私はこう思う、
”なんだ、ただの生ゴミか” と。
この世の真理とは往往にして身近にあるのだと感じる今日この頃です。
編集担当;Dempo